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鎌倉ゆかりの文学
 明治22年に横須賀線が開通すると、東京からの交通の便が良くなり、文学者が鎌倉を訪れるようになります。大正
になると、多くの文学者が、鎌倉に滞在したり、暮らしたりするようになりました。昭和に入ると、より良い創作環境を
求め、さらに多くの文学者が鎌倉へ移り住むようになります。彼らは親交を深め、やがて「鎌倉文士」といわれるよう
になり、鎌倉カーニバルの発案や貸本屋鎌倉文庫の開店など様々な活動をしました。
  鎌倉に暮らし、仲間と集い、鎌倉の自然を愛し、作品に描いた文学者たちの思いが、鎌倉を「文学都市」へと高め
ていきました。そして、いまも なお、多くの文学者が鎌倉に暮らし、活躍しています。
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 鎌倉は、幸せなことに、空襲を免れたまちである。終戦という日本の国の大きな節目にも、まちの変化は殆どなかったと言っていい。頼朝以来の武家政治によって生まれた精神文化と、明治維新後の西欧文化の2つの流れが、そのまま戦後という時代を迎えた。
 鎌倉文人の祖とも言える源実朝の存在は、800年の時空を超えて今日、あまたの実朝忌短歌会や俳句会となって鎌倉のまちの潤いとなっているし、明治の中葉以降、外交官陸奥広吉や西洋医学の泰斗長與専斎らの新知識が、鎌倉の文化的風土をつくり上げていったことは、疑う余地がない。戦後既に60年、今日なお古き良きまちであり続けているのは、そうした先人たちの、まちを愛する心によって育まれてきたのだ。戦前戦後を通じて、多くの文人たちが鎌倉に居を定めたのも、故なしとしない。
 その象徴的な姿として、鎌倉文庫を挙げたい。敗色濃き昭和20年5月、鎌倉在住の作家たちは、自らの所蔵本を持ち寄って貸本屋を開く。著名な作家たちが店頭に立ってお客様に接する。戦争に疲れ、文化を失い、希望を失いかけていた市民たちの心に、作家たちの献身が、どれ程の生きる勇気を与えたか。 ここに作家たちの鎌倉を愛する気持ちと、鎌倉ならではの根深い文化性を見るのだ。
 文学都市とは、大きさを示す言葉ではない。鎌倉に生きる歴史の重みと、鎌倉を愛した文人たちの気概が、鎌倉を格調高い都市とさせているのだ。1950年代、溢れんばかりの著名作家たちの姿が、若宮大路の段葛にも、さり気ないひっそりとした小路にも、当たり前の風景として見られた。名もない喫茶店や居酒屋でも、市民と並んで寛ぐ作家たちがいた。まち全体に文学の香りがあった。
 いま、鎌倉は生活の利便性を追う没個性の地方都市になりかけている。21世紀になっても、連綿と続いてきた文化的足跡の上に、更に文学都市かまくらの心を伝え続けねばならない。                 (やまのうち・しづお)
『文学都市かまくら100人』収録
(財団法人鎌倉市芸術文化振興財団 鎌倉文学館 2005年)
1 『鎌倉文学館資料シリーズT 鎌倉文学碑めぐり』

この本の説明に沿って歩くと、江ノ電の線路沿いで小さな句碑に出会う。 「波音の由比ヶ浜より初電車 虚子」 由比ヶ浜の近くに暮らす高浜虚子が、大正初期の元旦の朝に詠んだもの。 この本を片手に鎌倉を歩けば、夏目漱石や与謝野晶子など、多くの文学者の碑に出会える。地域別に60以上の文学碑を紹介。実際に歩けるよう、できるだけ道順に沿った説明が親切。
2 『鎌倉文学館資料シリーズU 鎌倉文学散歩 大船・北鎌倉方面』

大船・北鎌倉には円覚寺や東慶寺、浄智寺、建長寺などの寺がある。円覚寺では、夏目漱石が参禅し、その帰源院に止宿。その体験が小説「門」や「夢十夜」の中に描かれていることなどを詳しく紹介している。また、この本を読むだけで、鎌倉を文学散歩したような気分になれる。それぞれの寺と文学の説明や、ゆかりの文学者を紹介。主な文学者は、夏目漱石、島崎藤村、有島武郎、川端康成、高見順、小津安二郎、葛西善蔵。
3 『鎌倉文学館資料シリーズV 鎌倉文学散歩 雪ノ下・浄明寺方面』

雪ノ下・浄明寺方面には、鎌倉駅、鶴岡八幡宮、鎌倉宮、瑞泉寺、浄妙寺、釈迦堂切り通しなど。鶴岡八幡宮周辺では、永井龍男が描いたぼんぼり祭りや、与謝野晶子、吉野秀雄の歌、「平家物語」や「義経記」、永井路子の「源頼朝の世界」、海音寺潮五郎の「蒙古来る」、源実朝の「金槐和歌集」などを道順に沿って紹介。 多くの寺と文学の紹介や、ゆかりの文学者を紹介。主な文学者は、久米正雄、小島政二郎、小林秀雄、志賀直哉、大佛次郎、澁澤龍彦、永井龍男。
4 『鎌倉文学館資料シリーズW 鎌倉文学散歩 長谷・稲村ガ崎方面』

長谷・稲村ガ崎方面には、寿福寺、光明寺、鎌倉文学館、大仏、極楽寺、七里ガ浜、鎌倉山など。鎌倉文学館の近くには川端康成が暮らし、「山の音」や「千羽鶴」など多くを執筆。「鎌倉のいはゆる谷戸の奥で、波が聞こえる夜もあるから…」(「川端康成「山の音」より)それぞれのゆかり作家の、鎌倉ゆかりの文章が読めるのが嬉しい。主な文学者は、中原中也、立原正秋、芥川龍之介、泉鏡花、武者小路実篤、北原白秋、与謝野寛・晶子。
5 『文学都市かまくら100人』

開館20周年を記念し、これまで鎌倉文学館が蓄積してきた情報を詰め込んだ1冊。「文学都市かまくら」にゆかりの300人を超える文学者から、明治から現代までの100人を紹介。文学都市が形成されていく歴史とともに、100人の写真や、作品紹介、鎌倉ゆかり作品、ゆかり場所、直筆資料などを多くの写真とともに収録。本書のため、現役作家が書き下ろした原稿や書斎の様子、愛用品なども紹介。
【 ご注文される方へ 】
「鎌倉と文学」書籍セットをお求めの場合、通信販売を行っております。
【 注文方法 】
商品名「鎌倉と文学 書籍セット」と、住所、氏名、電話番号を明記し、セット価格4,400円を郵便小為替、または現金書留にて、『〒248-0018鎌倉市長谷1-5-3鎌倉文学館』までお送りください。送料はサービスです。
※上記の書籍は1冊ずつでも販売しています。(送料は別途ご負担ください。)
  詳しくは、鎌倉文学館(0467-23-3911)までお問い合わせください。
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